【中薬を故事で学ぶ】 牵牛子の故事 〜牛と薬と李虎〜

中薬の故事

昔々、河北省晋州市の李庄に、「李虎」という若者が住んでいました。

彼は体が丈夫で力持ちでしたが、ある日突然、鼓脹病(腫れ病)にかかってしまいました。

何度も医者に診てもらっていましたが、病気は一向に良くなりませんでした。

李虎の妻はとても心配し、最終的に山西省潞州府の老郎中(老医者)を招いて、李虎の病気を診てもらうことにしました。

老郎中は診察の後、李虎の妻にこう言いました。

「喇叭花(らっぱばな)の種子を煎じて服用させなさい」

李虎の妻はその野花を聞いたことがありませんでした。

老郎中は説明しました。

「私の山西潞州府の実家の入り口にその野花があります。その花の種子が薬です。私の家に行って、種子を採ってきなさい」

李虎の妻は急いで山西に行き、喇叭花の種子を採ってきました。李虎にその煎じ薬を数回飲ませたところ、本当に効果があり、1ヶ月も経たないうちに李虎は完治しました。

李虎とその妻は老郎中に感謝の意を表すため、牛を連れて老郎中の家に行き、心から感謝を伝えました。

「先生、私が服用した薬は何ですか?」

老郎中は一瞬答えに窮しました。

実は、その喇叭花にはまだ正式な名前がなかったのです。

そこで老郎中は考えました。

(この花の種子は不治の病を治すほどの力を持っている。治った患者が牛まで連れてやってくるほど元気になったのだ。よし、『牽牛花』と名付けよう)

老郎中は喇叭花を指差し、李虎に言いました。

「これは牽牛花です。あなたが飲んだのは牽牛花の種子です。実際に、この薬で治ったあなたも牛を連れていますね。あはは」

それ以来、喇叭花は「牽牛花」という名前で知られるようになりました。

*牽牛花=あさがお

おしまい


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