【中薬を故事で学ぶ】 黄連の故事 〜娘を救った助手の決意〜

中薬の故事

昔、土家族(トゥチャ族)が住む黄水山に、韓という名医がいました。

彼の医療技術はとても高く、遠くから治療にくる人が多く集まっていました。

韓医師は外出することが多いため、薬草の庭を管理する助手を雇っていました。

韓医師には聡明で活発な美しい娘がいて、両親にとって宝物のような存在でした。

娘も、花や薬草を育てるのが好きで、よく庭の手入れをしていました。

ある年の正月の朝、寒さが厳しく霜がおりる中、娘は薬草の庭に行きました。

庭から続く、山に向かう小道を歩いていると、道端に新緑色の小さな花が咲いているのを見つけました。

娘は「この花を庭で育てよう」と思い、根ごと掘り起こして庭に植え替えました。

助手もその花を気に入り、丁寧に手入れをしました。

草はどんどん茂り、後に種をつけました。

翌年、新緑色の小さな花は、庭により多くの花を咲かせました。

そんなある日、韓医師の娘が奇妙な病気にかかりました。

全身が乾燥し、吐き気と下痢が止まらず、3日で皮膚が骨に張り付くほど痩せてしまいました。

韓医師は外出中で家におらず、母親は心配で食べることも眠ることもできず、ただ涙を流していました。

助手は焦りました。

その時、ふと新緑色の小さな花を思い出しました。

実は、数ヶ月前、喉が痛くなったため、試しに新緑色の小さな花の葉を噛んだことがあったのです。

非常に苦かったが、2時間後には痛みがなくなったことを思い出しました。

助手は思いました。

「この子の病気に試してみる価値があるかもしれない」

彼は根ごと一株を抜き、一杯の薬湯にして娘に飲ませました。

すると驚いたことに、朝に薬を飲むと、午後には症状が軽くなりました。

さらに2回飲んだところ、病気が完全に治ったのです。

その時、韓医師が帰ってきました。

経緯を聞くと、「ありがとう! 娘を救ってくれてありがとう!」と何度もお礼を言いました。

「私の娘は重い胃腸の熱があり、清熱解毒の効果がある薬が必要でした。この緑色の小草は、清熱解毒に特効があるようですね!」

韓医師は、この草の名前を知りませんでした。

そこで、助手が黄連という名前であること、そして、娘の病気を治してくれた彼への感謝の意を示すために、この薬草を「黄連」と名付けました。

おしまい


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