祖父と孫の中医学物語 第四十三話 乳頭亀裂の外用処方

中医学物語

白芷の外用が驚くほどの効果を示したのを見て、指月の心は踊っていた。

まるで中薬の世界に隠された宝の山を発見したような気分だった。

するとまさに「思えば即ち至る」と言われるように、薬にふさわしい患者がやってきた。

ある乳母が訪れたのだ。

乳頭が亀裂して腫れ上がり、痛みがひどくてたまらないという。

赤ん坊に授乳を続けることもできず、かといってやめることもできなかった。

困り果てた彼女は、急いで祖父を頼ってきたのだ。

「どうだ、指月。何か妙案はあるかい?」

指月はにっこりと笑って答えた。

「白芷が効きます」

「ほう? どうしてそう思う?」

「自分の傷に使って試したのです。白芷には腫れを引かせ、膿を排し、傷の治癒を促す力があります。古典にも、白芷は刀傷や蛇傷、癰疽などの腫痛を治すとあります。今回の症状にぴったりだと思います」

祖父はうなずき、「それでは、お前の言う通りやってみようか」と言った。

指月は単味の白芷を使い、半分は煎じて乳母に内服させ、残った煎じカスに白芷粉と乳汁を混ぜて、患部に塗布させた。

すると、たった二度の使用で痛みが消えてしまった。

三日後には皮膚の裂け目が閉じ、赤ん坊もまた無事に母乳を吸えるようになった。

この結果に指月は大喜びした。

「ようやく白芷の使い方が分かってきました。内服すれば風を祛い湿を乾かし、帯下を止める効果がある。外用しても同じように働く。まさに、内用の薬はそのまま外用にもなるという理なんですね!」

指月は、愛用のノートに『本草汇言』の一節を写した——

白芷は、上は頭目に行き、下は腸胃に至り、中は四体をめぐり、肌膚から毛孔にまで通達して、邪気の排泄を助ける。
たとえば——
・頭風頭痛、目の眩暈やかすみ、
・手足の麻痺や痛み、脚の虚弱や痿痹、
・瘡や潰瘍やただれ、排膿と肉の再生、
・目の障り、痛痒、赤みや乾き、
・女性の血閉、陰部の腫れや帯下、
・小児の痘疹、膿や痒みの進行、
——これらすべて、白芷は治すことができる。

ただしその性味は辛散であるため、
・頭痛・麻痺・眼病・漏下・癰腫などの症状が、風湿寒邪によるものではなく、陰虚気弱や陰虚火旺によるものであれば、白芷は禁忌である。


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