祖父と孫の中医学物語 第七話 解肌って何?

中医学物語

「解肌とは何でしょうか?」

指月は以前、桂枝について学んだ際に、祖父に尋ねました。

「医道は体験を伴う内面的な学問だ。私がりんごの味を説明しても完全に理解はできないだろう?実際に自分でりんごを食べて、初めて理解できるんだ。解肌もそう。しばらくすれば自ずと分かるだろう」

すんなりとは教えてもらえず、指月は悶々としていました。

ある日、指月は竹のベッドで寝ていると、暑くなってきたので布団をすべて剥ぎ取ってしまいました。

涼しさを求めるのは人間の本能です。

祖父はその様子をみてを見て笑みを浮かべました。

(指月には少し苦痛を味わってもらおう)

翌朝、指月は目を覚ますと、首が回らなくなってました。

無理に動かそうとすると強い痛みを感じました。

彼は急いで祖父を探し、「どうしてこの首が動かなくなったのでしょうか? まるで縄で縛られたようです。少しでも動かすと痛いのです」と訴えました。

祖父は笑って言いました。

「涼を得るために、布団をかけず、一晩中風に当たっていただろう? 寝るときは布団をかけるように言っていたはずだ。寝ついた後、もし深夜に寒くなっても、誰も布団をかけてくれないからね。冷えてしまったようだね。以前、同じように冷えて風邪をひいた時は、鼻水が出たり、頭痛がしたり、風に当たるのを嫌ったり、汗が出たりしたが、桂枝湯を一服飲めば治ったね。でも、今回は首が固くなり、まるで縄で縛られたように不快だ。どうすればいいと思う?」

指月は「そうか!」というと、軽く頭を叩きました。

「分かりました。脈は浮いて緩やかで、舌苔は薄く白く、汗が出ていて、首が固くなっているので、桂枝加葛根湯を使います」

祖父は笑って「それなら早く薬を取りに行って、煎じなさい」と言いました。

指月は薬を煎じて一杯だけ飲むと、すぐに布団を取り出してくるまりました。

目と鼻だけが出ていて、まるで熊のようなでした。

指月は体が徐々に汗をかき始めたのを感じました。

以前、祖父が「ゆっくりと汗をかかせなさい。多く汗をかかせず、下着が少し湿る程度になったらすぐに乾いた服に着替えると良い」と言っていたことを思い出していました。

今回も予想通りの結果でした。

風寒がどのように体内に入ったのかを考えれば、同じ道を通って発汗解肌すればよいのです。

桂枝加葛根湯を一服飲んだだけで、首がほぐれ、動かせるようになり、痛みも消えました。

この薬は、まるで筋肉の束縛を一気に解放させるような効果があります。

指月は風寒に縛られて筋肉の硬直していた感覚が、一瞬で解放される感覚をしっかりと味わいました。

祖父は指月に尋ねました。

「指月、お前は解肌が何であるか説明できるか?」

指月は笑って言いました。

「まるで水を飲むようなものですね。冷たいか暖かいかは自分で感じるしかありません」

そして、「これは言葉では説明しにくいですね。りんごを食べたことがあれば、その味が分かるようなものですよ」と続けると、祖父と指月は顔を見合わせ、大笑いしました。


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